穴あき包丁のメリットは?くっつきにくさの理由と選び方・注意点

穴あき包丁のメリットは?くっつきにくさの理由と選び方・注意点

穴あき包丁のいちばんのメリットは、切った食材が刃からはがれやすいことです。食材がくっついて作業を中断するのが気になるなら、選ぶ理由になります。ただし、穴があるだけで切れ味がよくなる、どんな食材も自然に落ちる、とまでは考えないほうがよいでしょう。

私なら、まず「困っているのは食材のくっつきなのか、刃の入りにくさなのか」を分けて考えます。前者なら穴あき加工が候補。洗いやすさを優先する場合や、長く研いで使いたい場合は、穴のない包丁も比べたいところです。メリットと引き換えになる点まで見ていきましょう。

この記事のポイント
  • 食材を刃からはがれやすくする穴の役割
  • 切れ味・軽さと刃離れの違い
  • 洗いやすさと長く研いで使う際の注意点
  • 利き手と穴あり・穴なしの比較による選び方
目次

穴あき包丁のメリットと食材がはがれやすい理由

穴の役割は、切った食材を刃からはがれやすくすること

穴の役割は、切った食材を刃からはがれやすくすること

穴あき包丁は、刃に穴を設けた包丁です。関包丁アカデミーの包丁の選び方でも、食材が刃からはがれやすく、効率的に調理できる包丁として紹介されています。見た目の飾りではなく、切ったあとの食材の離れやすさを狙った工夫です。

その理由について、KATABAの解説では、穴あき加工によって食材の付着する面積が少なくなることなどを挙げています。同じ解説でメリットとしているのは「くっついた食材を剥がしやすい」という性質。食材が刃に残ること自体を完全になくす説明ではありません。

ここは購入前の期待を合わせたいところです。「くっつかない包丁」と考えると、食材が残ったときに期待外れになってしまいます。一方、「刃に付いた食材を離れやすくする工夫」と考えれば、穴の役割がつかめます。商品説明の切り離れのよさと、すべての食材が自動的に落ちることは、分けて受け止めましょう。

薄切りの食材をはがす手間が気になる人に向く

利点を考えやすい場面は、きゅうりの輪切りなど、薄く切った食材が刃にくっつく作業です。KATABAの解説でも、くっついた食材が次に切るときの邪魔になったり、次の作業の前に並べ直しが必要になったりする例を挙げています。

切ることだけでなく、切ったあとに手が止まることが悩みなら、刃離れに注目する意味があります。

たとえば、薄切りや千切りをするときに、刃に付いた食材をはがす作業が気になるかどうか。これは、穴あき包丁を検討する際の具体的な判断材料です。ただし、穴あき加工で何分短縮できる、切る速度が何倍になる、といった効果まで示されているわけではありません。作業のしやすさへの期待と、時間短縮の保証は別に考えます。

また、「くっつきやすい食材なら何でも穴あきが最適」とは限りません。同解説では、チーズやハムのように弾力のある柔らかい食材は、穴に少し入り込み、穴の角で断面に傷が入る場合があるとしています。薄切りの作業を助けたいのか、断面の仕上がりを重視したいのか。

よく切る食材まで思い浮かべると、メリットだけで選ばずに済みます。

切れ味のよさや軽さは、穴とは分けて比べる

切れ味のよさや軽さは、穴とは分けて比べる

食材が刃から離れやすいことと、刃が食材へ入りやすいことは、選ぶ際に分けて見たい性質です。貝印のFAQでは、切れ味は基本的に刃の角度や硬さ、抵抗の少なさに関係し、用途によって欠けにくい角度や硬さも考慮すると説明しています。穴の有無だけで、普通の包丁よりよく切れるとは判断できません。

実際、貝印の「わかたけ」シリーズでは、刃先を薄く仕上げた刃体と独自の刃付けによって鋭い切れ味を実現したと説明しています。穴あきモデルも通常の三徳モデルもあるシリーズですが、切れ味の説明は刃体と刃付けに結び付けられています。

刃が入りにくいことを解決したいなら、穴の加工だけでなく、その製品の刃の説明を読みたいところです。

軽さについても、商品全体の重量で比べましょう。同じ刃渡り165mmの「関孫六 わかたけ 三徳穴あき」は約107g、通常の「関孫六 わかたけ 三徳」は約108gという公式表示です。この組み合わせを見る限り、穴あきだから大幅に軽いとはいえません。

しかも、これは各製品の仕様であり、穴だけの減量効果を測定した数値ではありません。

貝印も、扱いやすい重さは種類や用途で異なり、今使っている包丁の重さやハンドルの握り具合と比較するよう案内しています。「穴が多いほうが扱いやすそう」という見た目より、重量表示と柄の形状を優先するのがよさそうです。

ディンプルやリブも、食材の離れやすさを狙った加工

刃の側面に丸い模様がある包丁を、穴あき包丁と呼んでしまうこともあるかもしれません。購入時は、穴なのか、表面のくぼみなのかを区別しましょう。貝印が2009年に発表した中華包丁の説明では、刃体側面に大小のくぼみを設けたものを「ディンプル構造」としています。穴あきとは違う加工です。

加工形状の特徴比較するときの着眼点
穴あき刃に穴を設ける食材のはがれやすさに加え、穴周りの洗いやすさ
ディンプル刃の側面にくぼみを設ける加工が片面か両面か、利き手との対応
リブ刃線に沿って出っ張りを設けるリブのある側、食材への切り込み抵抗
穴あき+リブ穴と出っ張りを組み合わせる両方の加工を備えた製品としての扱いやすさ

KATABAの比較解説では、これらの加工はいずれも、くっついた食材をはがしやすくする工夫として扱われています。一方、リブでは出っ張りによって高さのある食材への切り込み抵抗が増えること、ディンプルでは片面加工の場合に利き手を選ぶことなども指摘しています。加工が違えば、気にしたい点も変わるわけです。

ただし、この比較はKATABAの解説であり、すべての製品を同条件で測った性能順位ではありません。「穴よりくぼみが必ず上」「加工が多いほど高性能」と決めず、各メーカーがその製品について案内する用途や利き手の条件と合わせて選びましょう。

穴あき包丁のメリットを生かす選び方と注意点

洗いやすさを優先するなら、穴周りのお手入れも考える

穴あき包丁のデメリットとして考えたいのが、凹凸のある部分のお手入れです。KATABAの解説では、穴あき加工は汚れがたまりやすく、掃除が面倒な点を挙げています。また、穴や出っ張りのない包丁のほうが洗いやすいとしています。片付けの手軽さを重視するなら、見過ごせない比較軸です。

同じ解説では、穴の仕上げが雑な場合は穴の角で左手の指をケガする可能性があること、刀身に食材を乗せるとみじん切りや万能ねぎの小口切りのような小さな食材が穴から落ちることも、穴あき加工のデメリットに挙げています。刻んだ食材を刀身に乗せて運ぶことが多い方は、この点も比べておきましょう。

とはいえ、穴あきというだけで不衛生と決め付ける必要はありません。実際のお手入れは、製品の案内に従うことが前提です。貝印の「関孫六 わかたけ 三徳穴あき 165mm」では、使用後は速やかに汚れや水分を取り除き、乾燥させるよう案内しています。汚れや水分を残したままの放置は、サビや変色の原因になります。

食洗機を使いたい場合も、穴の有無では判断できません。貝印のFAQでは、対応製品はパッケージに使用可能と記載しているため、その表示を確認するよう案内しています。わかたけの穴あきモデルは食器洗浄機・食器乾燥器に対応していますが、それを別メーカーの穴あき包丁に当てはめることはできません。

選ぶ段階では、「切るときの食材の離れやすさ」と「洗うときの手間」を一組で考えるのがおすすめです。刃に付いた食材が気にならず、洗いやすさを最優先したいなら、凹凸の少ない包丁を選ぶ理由があります。

強度と研ぎ直しは、長く使う前提で確認する

強度と研ぎ直しは、長く使う前提で確認する

「穴があると弱いのでは?」という疑問には、製品を限定せず強度の差を断定することは避けたいところです。徳蔵刃物のFAQでは、穴あき包丁を食材のくっつきへの対策として紹介する一方、強度への懸念と、長く研いで使い続けることを前提にしていない点に留意するよう説明しています。

これは購入時に考慮したい専門店の見解です。

ただし、この注意を「穴あき包丁はすぐ折れる」「普通の調理にも使えない」と広げるのは適切ではありません。穴あき製品全体に共通する強度の数値や、穴のない同等品との比較値が示されているわけではないからです。強度が気になる場合は、候補の製品で想定している用途をメーカーに確かめる必要があります。

研ぎ直しについても、「穴があるから一切研げない」と理解するのは早計です。徳蔵刃物は、穴のある包丁の寿命について、穴の寸前まで研ぎ減った段階を挙げています。一方で、何年という明確な基準はなく、使用頻度や研ぐ頻度、お手入れによって変わるとも説明しています。

長く使う際の論点は、穴に近づくまで研ぎ減った先の制約です。

なお、貝印は一般の包丁について、食材へ切り込んだ状態でこじったりひねったりすると、刃先を曲げる力で破損する場合があると警告しています。調理の際は前後にまっすぐ動かすという案内です。穴あきかどうかにかかわらず、強度への不安を力任せの操作で確かめる使い方は避けましょう。

左利きなら「三徳」「両刃」だけで選ばない

左利きの方が注意したいのは、一般的な三徳包丁の案内と、穴あき加工の条件が同じとは限らないことです。貝印のFAQでは、三徳包丁や牛刀は一般的に両刃で、左右どちらでも使えるとしています。ただし、一部のハンドルには左右専用のものがあるという例外付きです。

それとは別の「穴明き三徳は、左利きの人には対応していないのですか」という質問には、右側に切り離れをよくする穴があるため、左利きには対応していないと回答しています。少なくとも同社の穴明き三徳を検討するときは、「三徳だから左右兼用」と判断しないほうがよいでしょう。

このFAQには個別の型番が示されていません。左手で使うために「関孫六 わかたけ 三徳穴あき 165mm」を選ぶ場合は、AB5419という型番を伝えて対応を確認するのが確実です。一方、穴のない「関孫六 わかたけ 三徳 165mm」は、個別の商品ページで右利き・左利き兼用と明記されています。

ディンプル加工にも片面と両面があり、KATABAの解説では片面加工は利き手を選ぶとしています。

家族で共有する場合も含め、刃の名称だけでなく、加工されている側とメーカーの左右対応表示まで見ることが大切です。

同じシリーズの穴あり・穴なしを比べて決める

同じシリーズの穴あり・穴なしを比べて決める

購入候補を具体的に比べるなら、同じシリーズで穴あり・穴なしを並べる方法があります。例として、貝印の「関孫六 わかたけ 三徳穴あき 165mm」と「関孫六 わかたけ 三徳 165mm」を見てみましょう。両方ともステンレス刃物鋼と耐熱性のある樹脂柄を使い、食洗機に対応した製品です。

比較項目関孫六 わかたけ 三徳穴あき 165mm関孫六 わかたけ 三徳 165mm
メーカー貝印貝印
品番AB5419AB5420
刃渡り約165mm約165mm
重量約107g約108g
刃体ステンレス刃物鋼ステンレス刃物鋼
柄ポリプロピレン・ナイロンポリプロピレン・ナイロン
食器洗浄機・食器乾燥器使用可使用可
左利きでの使用メーカーFAQの注意を踏まえ、型番で要確認個別ページに左右兼用の明記あり
公式ブランドサイト掲載価格2,970円(税込)2,420円(税込)

価格は2026年10月28日確認時の掲載内容です。

この比較では、刃渡り、刃体の材質、柄の材質、食洗機対応が共通しています。穴あきモデルを選ぶ理由は、主に食材の離れやすさに期待するかどうか。重量だけを理由に穴あきを選んだり、価格が高いぶん必ず切れ味も上だと考えたりする根拠にはなりません。食材のくっつきに困っているかどうかを、選択の中心に置きましょう。

薄切りのたびに食材が刃に残るのが気になり、穴周りのお手入れも含めて選べるなら、穴あきモデルは候補になります。洗いやすさや左右兼用の明記を優先するなら、通常の三徳モデルから検討する選び方もあります。穴の見た目より、毎日のどの手間を減らしたいかで決めるのがおすすめです。

穴あき包丁のメリットと選び方のまとめ

この記事のまとめです。

  • 穴あき包丁の主なメリットは、切った食材が刃からはがれやすいことです。
  • 穴があっても、すべての食材がくっつかず自然に落ちるとは限りません。
  • きゅうりの輪切りなど、薄切りの食材をはがす手間が気になる人の候補になります。
  • チーズやハムなど柔らかく弾力のある食材は、穴の角で断面に傷が入る場合があると指摘されています。
  • 切れ味は刃の角度や硬さなどにも関係するため、穴の有無だけでは判断できません。
  • 軽さは製品全体の重量で比較し、今の包丁や柄の握り具合も判断材料にします。
  • ディンプルはくぼみ、リブは出っ張りを設ける加工で、利き手や扱いやすさの条件も異なります。
  • 穴周りの洗いやすさも比較し、食洗機は対象製品の対応表示に従って使います。
  • 長く研いで使いたい場合は、穴に近づくまで研ぎ減った際の制約も考慮します。
  • 左利きでは三徳という名称だけで選ばず、穴あき加工の左右対応を型番ごとに確認します。
  • 穴あり・穴なしを比べ、食材のくっつき、洗いやすさ、利き手のうち何を優先するかで選びましょう。
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この記事を書いた人

はじめまして、トントンです。
20代はほぼ料理をせず、30代前半でやっと自炊デビュー、安物買いの失敗を重ねて道具を見直し、今はキッチン道具沼にどっぷりハマっている40代のいちユーザーです。
「自分にぴったりの一品」に出会えるお手伝いができれば嬉しいです。

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