木のまな板は、板を好みの形に切り、角や表面を整える方法で自作できます。最初の一枚なら、板の幅を生かした形を出発点にすると、加工する場所を絞れます。持ち手を付けるか、吊り下げ穴を開けるかは、使いたい形に合わせて決めましょう。
先に決めておきたいのは、材料と仕上げです。一枚板には貼り合わせる工程がありませんが、反りへの配慮は必要。オイルもすべての木製まな板に必須ではなく、榧・ひのき・いちょうには塗らずに使われてきた歴史があります。見た目の好みだけでなく、作った後の扱い方まで含めて選んでいきましょう。
- 樹種・木目・構造を合わせた材料選び
- 持ち手を含めて決める寸法と必要な道具
- 切断から研磨までの具体的な工程
- オイルの要否と完成後の洗浄・乾燥
まな板を自作する前に決める木材・サイズ・道具
木材は樹種と木目をセットで選ぶ

普段の調理に使う木のまな板を考えるなら、まず候補にしたいのがひのきやいちょうです。まな板を製造するダイワ産業は、ひのき以外の素材として柳・銀杏・朴・檜葉などを紹介しています。一方で、木にはそれぞれ異なる特徴があり、まな板に適していないものもあると説明しています。
「木ならどれでも同じ」とは考えないほうがよさそうです。
樹種と一緒に見たいのが木目。模様のように木目が出るものが「板目」、細かい木目がまっすぐ平行に出るものが「柾目」です。ダイワ産業の説明では、板目は広い幅を取りやすく価格も比較的安い一方、変形しやすい性質があります。柾目は取れる幅が狭く高価になりますが、変形しにくく、まな板に適しているとされています。
| 木目 | 材料選びで知っておきたい点 | 自作で考えること |
|---|---|---|
| 板目 | 幅広の板を取りやすく、比較的安いが変形しやすい | 幅や価格だけでなく、反りも考慮する |
| 柾目 | 幅が狭く高価だが、変形しにくい | 必要な幅を取れるかと予算を合わせて考える |
持ち手のあるカッティングボードを作る例では、呉工業のDIY企画がアメリカンチェリーの一枚の板を使っています。少し硬めの材を、作りやすさや使用時の感覚を考えて選んだ例です。ひのき以外でも作れますが、ある作品に使われた樹種を、そのまますべての調理用途に最適と受け取る必要はありません。
一枚板と貼り合わせは、加工と反りの違いで考える
この記事では、一枚の板から切り出す方法を基本にします。材料の形を決めて切断・研磨へ進めるため、板同士を接着する工程を含めずに作れます。呉工業の作例も、板の幅と長さを生かして、主に持ち手の部分を切り出す構成です。
ただし、一枚板のほうが必ず実用的とは限りません。ダイワ産業は、一枚の幅広い板では大きな変形が起こり、材料も高価になるとして、幅方向に材を貼り合わせてまな板を製造しています。同社は、この方法で価格を抑え、変形を少なくしていると説明しています。
貼り合わせてあるという理由だけで、まな板として不向きと判断するのは早計です。
市販のまな板と、手元の集成材や端材は分けて考えましょう。ダイワ産業の接着剤・塗料についての説明は、同社のまな板に使っているものが対象です。家庭にある木工用接着剤や、用途の分からない貼り合わせ板にまで同じ説明は当てはめられません。
端材を使う場合も、「余っているから使える」と決めず、樹種や加工内容、まな板用途について販売元に相談するところから始めたいですね。
サイズと厚さは作例を目安に、持ち手も含めて決める

寸法の出発点が欲しいなら、具体的な作例が参考になります。呉工業のカッティングボード作例では、幅210mm・長さ460mm・厚さ15mmのアメリカンチェリー材を使用。幅はそのまま使い、長さ460mmには持ち手も含めています。食材を切る面だけで460mmあるわけではない点に注意してください。
形は、先に作りたい大きさを決めて材料を探す方法と、手に入った板に合わせて決める方法のどちらでも構いません。同作例では、持ち手を切った段階で全体のバランスを見て、ボード面が長ければ短くする考え方も紹介されています。私なら、まず板に持ち手とボード面の境界を描き、実際に使える面がどれくらい残るかを見ます。
道具は切断・研磨を基本に、穴あけ用を足す
必要な道具は、作りたい形から逆算するとまとまります。直線主体ならノコギリで切り出す方法があり、曲線や持ち手を作る例では曲線用のノコギリや電動ジグソーが使われています。
吊り下げ穴を付けるなら、木工用の穴あけ道具も必要です。
| 工程 | 用意する道具・材料 | 用途 |
|---|---|---|
| 下書き | 鉛筆、型紙用の紙 | 輪郭や持ち手の形を決める |
| 切断 | ノコギリ、または電動ジグソー | 下書きした形に切り出す |
| 固定 | クランプ | 作業台に材料を固定する |
| 研磨 | 紙やすり | 切り口・角・表面を整える |
| 穴あけをする場合 | 電動ドリル、木工用ビット | 持ち手などに穴を開ける |
| オイルを塗る場合 | 対象用途のオイル、布 | 塗布と余分なオイルの拭き取り |
電動工具をすべてそろえることを前提にする必要はありません。WOODWORK CENTERの作例でも、最初は一般的なノコギリと曲線用の細いノコギリで切り、その後にジグソーを使っています。手持ちの道具で作れる形にするか、曲線を作るために道具を足すか。
材料を買う前に、ここまで決めておくと準備の範囲がはっきりします。
まな板を自作する手順と、仕上げ・手入れのポイント
下書きして切り出し、持ち手や穴を加工する
加工の順番は、下書き、切断、必要に応じた穴あけ、研磨です。持ち手を左右対称にしたい場合は、紙で型を作ると輪郭を写せます。呉工業の作例では、持ち手を中心に紙を半分に折って切り、広げて左右対称の型紙にしています。
- 板の幅と長さに合わせて、ボード面と持ち手の形を決めます。
- 型紙を使う場合は、輪郭を板へ鉛筆で写します。
- 線に沿って切り出し、全体のバランスを見ます。
- 吊り下げ穴を付ける場合は、持ち手などに穴を開けます。
- 切り口と板全体を研磨します。
穴の直径も、まな板共通の決まりがあるわけではありません。呉工業の作例はフック用に直径15mmの穴を開けていますが、紐を付けるなら小さめにする案も紹介しています。穴は飾りとして先に決めるより、フックに掛けたいのか、紐を通したいのかを決めてから考えるほうが自然です。
持ち手のある形では、切るだけで完成するわけではなく、切り口や曲線を整える作業が続きます。WOODWORK CENTERでは、切り出した後にカンナで角を落とし、ヤスリ、紙やすりへ進めています。輪郭ができた段階で仕上がりを判断せず、次の研磨までを一続きの工程として考えましょう。
紙やすりは、形を整える工程と仕上げを分ける


研磨では、まず切り口や削り跡の凹凸を整え、その後に表面を仕上げます。DIY MAGAZINEの制作例では、粗い60番でナイフの削り跡をならし、320番で表面と端を仕上げています。同記事では、320番だけでは微妙な凹みを直せなかったとして、先に粗い番手で整える工程を振り返っています。
一方、呉工業のアメリカンチェリー材の作例では、切り口と板全体を400番程度の紙やすりで仕上げています。ここでの60番・320番と400番は、それぞれ別の制作例の指定です。「どんな板でも60番から始め、400番まで進める」という一つの手順に混ぜないようにしましょう。
番手を選ぶ前に見たいのは、板がどの状態にあるかです。ナイフで成形した跡を残した板と、輪郭だけ切り出した板では、整える部分が違います。平らな面だけでなく、切り口、持ち手の曲線、穴を開けた場合はその内側までが仕上げの対象。DIY MAGAZINEでは、穴の内側を細工用のヤスリで整えています。
オイルは必須ではないが、塗るなら用途と乾燥を守る
「自作したら最後に必ず油を塗るの?」への答えは、必須ではありません。榧工房かやの森の案内では、榧・ひのき・いちょうのまな板は、昔からオイルを塗らず、使用前に濡らし、使用後に洗って乾かす方法で使われてきたと説明しています。こうした木材で無塗装のまな板を考えているなら、オイルなしも選択肢です。
塗る目的は、木の変化をなくすことではありません。同工房は、オイルによって乾燥の進み方が穏やかになり、環境変化による負担を和らげ、結果として割れが生じにくくなる効果が期待できるとしています。ただし、割れを完全に防ぐものではないとも明記しています。
木目がはっきりし、濡れたような深みのある色になることも、仕上がりを選ぶポイントです。
オイルを選ぶ際、かやの森は亜麻仁油・エゴマ油などの乾性油や、市販のカッティングボードオイルを挙げています。「天然オイル」という言葉だけで用途を判断せず、まな板への使用に合うものを選びましょう。家具用などの製品を、成分名が似ているという理由だけで代用する案内ではありません。
- まな板をきれいに洗い、しっかり乾燥させます。
- 乾いた布やキッチンペーパーにオイルを取り、側面を含む全体へ薄く伸ばします。
- 15〜30分ほど置いてなじませます。
- 表面に残った余分なオイルを拭き取ります。
- スタンドに立て、一晩乾かします。
この時間は、かやの森が紹介する塗布手順です。購入したオイルに使用方法の指定がある場合は、その条件も確かめてください。同工房が示す塗り直しの目安は、表面が乾いて白っぽく感じられるようになった頃。毎月などの固定周期ではなく、表面の状態を見て判断する案内になっています。
完成後は洗って乾かす習慣をつけ、食洗機対応を推測しない


完成後の使い方も、まな板作りの大切な続きです。貝印の木製まな板の案内では、使う直前に両面を水で濡らし、清潔な布巾で表面の水分を拭いてから使います。乾いた木は食材の油分や色素を吸い込みやすいため、先に水を含ませるという考え方です。
使い終わったら早めに洗い、肉・魚や油汚れが付いたときは洗剤を使って十分にすすぎます。表面だけでなく裏面と側面も洗いましょう。貝印は、肉や魚のタンパク質汚れが残った状態で最初からお湯をかけると、汚れが固まって落ちにくくなると説明しています。熱湯を使った手入れより先に、汚れを落とす順番が大切です。
洗った後は、表裏と側面の水気を布巾で拭き、風通しのよい場所で乾かします。スタンドに立てるなど、空気に触れる置き方が基本です。直射日光は反りやひび割れの原因になるため避け、戸棚などにしまう場合は十分に乾かしてから。
作るときには、使う面の大きさとともに、完成した板を乾かせる置き方も思い浮かべておきたいですね。
食洗機については、自作の板を対応品とみなさないでください。貝印は、木製まな板には食洗機に対応しないものも多く、反りや割れの原因になる恐れがあるため、対応の確認が必要としています。市販の対応品に使われる塗装や反り防止加工の説明を、手作りの板へそのまま当てはめることはできません。
食洗機で洗うことを優先したいなら、対応が明示された製品を選ぶ判断になります。
まな板を自作するときのまとめ
この記事のまとめです。
- 木製まな板は、一枚の板を切り出し、角や表面を整える方法で自作できる
- 木材は樹種に加え、板目と柾目の変形しやすさや取れる幅も比較する
- 一枚板は接着工程を省けるが、貼り合わせのまな板には変形を抑えるための製造上の理由がある
- メーカー製まな板の接着剤の説明を、手元の集成材や接着剤へ広げない
- 幅210mm・長さ460mm・厚さ15mmはアメリカンチェリーの作例で、長さには持ち手を含む
- 基本の加工は下書き・切断・必要に応じた穴あけ・研磨の順
- 紙やすりの番手は作例によって異なり、凹凸を整える工程と表面の仕上げを分けて考える
- 榧・ひのき・いちょうのまな板ではオイルなしも選択肢で、塗っても割れを完全には防げない
- かやの森のオイル塗布手順は、十分に乾燥させて薄く塗り、15〜30分後に余分を拭いて一晩乾かす方法
- 使用後は早めに洗って水気を拭き、直射日光を避けて乾燥させ、自作の板を食洗機対応と推測しない
参考にした情報
- 【簡単DIY】おしゃれなカッティングボードの作り方!木材を削ってまな板を作る Vol.42 | DIY MAGAZINE
- 木のまな板へのオイル塗布について 榧(かや)製品の通販|榧工房 かやの森
- ひのきまな板Q&A|ひのきまな板ドットコム
- 木のまな板のお手入れ方法は?洗い方や保管方法までを詳しく紹介 | KAI LIFE 〜暮らしに寄り添う貝印のWEBメディア〜
- 四万十ひのきのまな板 取り扱い・お手入れ方法|料理家 栗原はるみ レシピ・オンラインショップ【公式】ゆとりの空間
- カッティングボードとスプーン&ナイフ | 5-56 DIY | 5-56 を知る | 呉工業株式会社
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