鉄フライパンって、洗剤で洗ったらダメなんじゃないの……?
実は、ためしてガッテンではプロが洗剤でガシガシ洗っている事実が紹介されていますよ。
鉄フライパンを使い終わった後、「うっかり洗剤で洗ってしまった……」と焦った経験はないでしょうか。
長年「洗剤NG」が定説だった鉄フライパン。しかし、NHKの人気番組『ためしてガッテン』では、プロの中華料理人が調理後に洗剤でフライパンをガシガシ洗う様子が紹介されました。
これには驚いた方も多かったはずです。「洗剤で洗っていいなら、これまでの常識はなんだったの?」と感じるのも無理はありません。
じつは、洗剤OKかどうかは「フライパンに重合した油膜が育っているかどうか」によって変わってきます。プロのフライパンと家庭のフライパンでは状態が異なるため、正しい知識を持って使い分けることが大切です。
この記事では、ためしてガッテンが伝えた「洗剤OK」の理由と、家庭での正しい洗い方・育て方をわかりやすくまとめています。
- ためしてガッテンが伝えた「プロは洗剤で洗う」の理由
- 洗剤に耐える「重合した油膜」のしくみ
- 家庭で洗剤を使うときの注意点と油ならしの手順
- 鉄フライパンを長く使い続けるための日常ケア
ためしてガッテンで明かされた「鉄フライパンと洗剤」の真実
- ためしてガッテンが紹介したプロの鉄フライパンの手入れ方法
- 洗剤に耐える「重合した油膜」のしくみ
- 「洗剤NG」説が広まった理由と家庭での正しい洗剤の使い方
- ゴキブリ問題と衛生面——洗剤で洗うべき場面はここ
ためしてガッテンが紹介したプロの鉄フライパンの手入れ方法


2015年放送の『ためしてガッテン』では、「中華鍋の焦げつき」がテーマとして取り上げられました。そこで紹介されたのは、中国料理のプロが行っている”意外な手入れ方法”。
プロの料理人は使い終わった中華鍋を、洗剤でしっかり洗い、乾かさず、油も塗らず、そのまま伏せて保管していました。「え?洗剤で?油塗らないの?」と驚いた視聴者も多かったはずです。
プロのフライパンが洗剤に耐えられる理由は「重合した油膜」にあります。高温調理を繰り返すことでフライパンに強固な膜が定着し、洗剤で軽く洗った程度ではびくともしません。
プロの厨房では高温でガンガン調理するため、自然とこの重合膜が育ちやすい環境にあります。NHKのためしてガッテンで取り上げられたことは、料理業界でもよく知られていましたね。
ただし、これはプロの話です。家庭のコンロは火力が弱いため、プロほど強固な重合膜ができにくいのが現実。家庭での「洗剤OK」は、「うっかり洗剤で洗ってしまっても大丈夫」という程度の話であり、日常は水洗いを基本とするのが無難です。
一度洗剤で洗ったからといってフライパンがダメになるわけではありません。洗剤を使う場合は、研磨剤が入っていない中性洗剤であることが前提です。
洗剤に耐える「重合した油膜」のしくみ


この「重合」こそが、プロのフライパンが洗剤に耐えられる理由です。重合した油膜はプラスチックのように変化した状態で、鍋にしっかりと密着した構造になっています。揚げ物の古くなった油がドロッと粘り気を帯びるのも、重合が進んでいる証拠です。この粘着性の高い油膜は、普通の洗剤では簡単に落ちないくらい強固に鍋に定着します。
鉄を焼き込むことで四酸化三鉄に変化し、金属の酸化物は親油性があるため油が馴染みやすくなります。黒錆(酸化皮膜)をしっかりつけておくと油膜が定着しやすくなる——重合膜を育てるための土台というわけ。
重合膜を早く作るためには「高温調理」が効果的——揚げ物や炒め物など、煙が出るくらいまで加熱するレシピが理想的です。
また、油の種類によっても重合のしやすさが変わります。半乾性油(サラダ油)や乾性油(アマニ油)は重合しやすい一方、不乾性油(オリーブ油)はフライパンのコーティングには向きません。日常使いにはサラダ油が手頃で扱いやすく、シーズニングにも適切な選択肢。
「洗剤NG」説が広まった理由と家庭での正しい洗剤の使い方


「洗剤NGの理由」は、洗剤によってフライパンの油膜がはがれてしまうからです。油膜がはがれると食材がくっつきやすくなり、さらに汚れが付着してまたくっつく悪循環が生まれるもの。
ただし、洗剤で洗っても毎回使う前に「油返し」をすれば油膜が維持できます。家庭では日常的な軽い汚れであればお湯とたわしで洗うのが基本です。
洗剤を使うのは、ソースや調味料がこびりついた頑固な汚れがある場合に限るのがおすすめです。洗剤使用後は必ず「油ならし(シーズニング)」を行い油膜を回復させることが重要です。
強力洗剤やスチールたわしでゴシゴシ洗うと黒錆や油膜が剥がれやすくなるため避けましょう。研磨剤入りの洗剤は傷がつき、錆やこびりつきの原因になるため使用禁物。
中性洗剤を使う際には、お湯で洗い流すと油膜がはがれすぎてしまうため、水で洗い流す方が良いとの報告もあります。
「洗剤NG」というのは、家庭で鉄フライパンを育てる上でのセオリーとしては正しい面があります。しかし、フライパンが十分に育ち、強固な油膜が形成されれば、洗剤で洗っても問題のない状態になります。自分のフライパンの状態を見極めながら、お手入れ方法を柔軟に調整していきましょう。
ゴキブリ問題と衛生面——洗剤で洗うべき場面はここ


「鉄フライパンにゴキブリが寄ってくる」というのは本当です。油を目当てに、ゴキブリがやってくるわけですね。ゴキブリは嗅覚を頼りに食べ物を探すため、油や洗い残しのにおいに引き寄せられます。
油が付いた鉄のフライパンをそのまま収納すると、何週間・何ヶ月後かにゴキブリが来ることがあります。「洗剤で洗わないで放置」した場合、ゴキブリが来やすい状況になっています。
鉄フライパンに薄く油を塗って保管する方法はゴキブリをおびき寄せる可能性があります。保管時の油は「塗る」というよりは「拭く」くらいの感覚で、ごく薄く均一に伸ばすのがポイントです。触ってベタつかずサラッとしている状態が理想です。
衛生面の観点から、洗剤で洗うことが推奨される場面があります。もしゴキブリが来たら、そのフライパンをきれいに洗剤で洗い、空焚きして熱殺菌することをおすすめします。
衛生面が心配な場合は、洗った後にビニール袋に入れて収納する方法も。使い終わったら必ずきれいに洗い、油汚れを残さないことが衛生管理の基本。
鉄フライパンの正しい洗い方・育て方と日常ケア
- 鉄フライパンの日常的な洗い方と洗浄道具の選び方
- 洗剤使用後に必要な「油ならし(シーズニング)」の手順
- 鉄フライパンの焦げ付き・サビのトラブル対処法
- 鉄フライパンから溶け出す鉄分と健康への影響
鉄フライパンの日常的な洗い方と洗浄道具の選び方


基本の洗い方は、「調理後、フライパンが温かいうちにお湯とたわしで洗う」です。温かいうちに洗う理由は汚れが落ちやすいためです。
主に以下の3種類を使い分けましょう。
亀の子たわし・パームたわしは最も一般的な選択肢です。適度な硬さで食材カスをしっかりとかき出してくれます。
ささら(竹を細かく割いて束ねたもの)は中華鍋の洗浄によく使われ、熱い状態でも安全に洗えるのが特徴。
スチールたわし(金たわし)は頑固な焦げには効果的ですが、研磨力が非常に強いため、せっかく育った油膜や酸化被膜まで削り落としてしまう可能性があります。使用は最終手段と考えましょう。
洗い終わった後に火にかけて水分を飛ばすことで殺菌効果が期待できます。水分が残っているとサビの原因になるため、水気がなくなるまでしっかり加熱してください。
加熱後は温かいうちにキッチンペーパーで薄く油を塗り、余分な油は拭き取ります。フライパンの裏側はスチールたわしでしっかりこすり磨くようにしましょう。裏側に汚れがこびりつくと、熱が均一に伝わらなくなるためです。
焦げ付く場合はフライパンに水を入れ火にかけてふやかした上で除去するのが手軽です。
洗剤使用後に必要な「油ならし(シーズニング)」の手順


洗剤で洗うと表面の油膜がリセットされてしまい、そのまま使うと焦げ付きやサビを招きやすくなっています。油ならし(シーズニング)とは、この油膜を作り直す工程です。
一度洗剤で洗っても「油ならし」をすれば元の使いやすい状態に復活します。
油ならしの手順は以下の通りです。
1. フライパンを中火にかけ水分をしっかり飛ばす
2. 火を止め、少し多めの油(1/2カップ程度)を入れる
3. 再び弱火にかけ3分ほど加熱し、油をフライパン全体に馴染ませる
4. 火を止め、オイルポットに油を戻す
5. キッチンペーパーで内側に残った油を刷り込むように拭き上げる
別の方法として、煙が出るまで空焚きし、油をたっぷり入れて(フライパンの1/3〜半分)、ティッシュでフライパン全体に油を塗る方法もあります。油を全体に塗らないと塗られていない場所はくっついてしまうため、まんべんなく塗るのが鉄則。
油返しの方法では、フライパンを中火であたためたあと、お玉一杯分くらいの多めの油を入れて鍋肌によくなじませ、油が十分に熱くなったらオイルポットに移します。
家庭用コンロには温度が上がると自動で火の強さを調節する機能があるため煙が出にくい場合があります。フライパンの底一面の色が変化したら、シーズニング完了のサインですね。
鉄フライパンの焦げ付き・サビのトラブル対処法


フライパンの表面に焦げなどの汚れが付着していると油が馴染まず、食材がくっつく原因になります。フライパンの表面には顕微鏡レベルでヒビや突起があり、この凹凸が食材こびりつきの物理的な原因です。
タンパク質は加熱すると金属イオンとも反応するため、くっつきやすい特性があります。卵料理は特に注意が必要なメニュー。食材がくっつく原因は、加熱不足(予熱が足りない)か、表面の汚れによって油が馴染まないためです。
頑固な焦げ付きの解決策はこちらです。
1. ガスバーナーで加熱し汚れを炭化させる
2. スクレーパーでガリガリと削り取る
3. サンドペーパー(#100〜#200)で磨く
4. 焼き込みとシーズニングをやり直す
軽い焦げ付きの場合は、フライパンに水または湯を入れ火にかけてふやかした後、たわしでこすり落とす方法が手軽です。
サビが発生した場合はスチールたわしでサビをしっかりこすり取り、から焼きして温かいうちに油を塗ります。
裏側の黒いベタベタ汚れは重合した古い油脂で、衛生的にも好ましくなく料理の味が落ちる原因にもなります。定期的に裏側もしっかり磨いておきましょう。
鉄フライパンから溶け出す鉄分と健康への影響


鉄フライパンや鉄鍋から鉄分が溶出することは確認されています。溶出する鉄分の多くが吸収率の高い「二価鉄(ヘム鉄)」であるという特徴があります。
料理別の鉄分補給量(一人分)は以下の通りです。
- 野菜炒め:約0.15mg
- ビーフシチュー:約1mg
- 目玉焼き:約2mg多く摂取できる(元の食材に含まれる鉄分に加えて、鉄フライパンからの溶出分)
- 酢豚:約0.35mg
鉄の溶出量はpHが低く食塩量が多い方が増加します。食酢・トマトケチャップなどを使うと溶出量が増えます。また、加熱時間が長いほど鉄の溶出量は増加傾向に。
油で炒めると鍋の表面に被膜ができ、鉄が溶出しにくくなります。野菜炒めで溶出量が少なくなるのは、まさにこのしくみから。
現代の食生活では鉄分が不足しがちで、鉄フライパンは日常的な鉄分補給のサポートになってくれます。ただし、肝臓などに持病があり医師から鉄分制限を受けている方は注意が必要です。
鉄フライパンと洗剤の使い方と正しいお手入れのまとめ
この記事のまとめです。
- ためしてガッテン(2015年放送)で紹介されたのは、プロの中華料理人が洗剤でフライパンを洗っている事実
- 洗剤に耐えるのは「重合した油膜」が強固にフライパンに定着しているため
- 重合とは油の分子が高温によって結びつきポリマー(巨大分子)になること
- 「洗剤NG」説の理由は油膜がはがれることへの懸念だが、油ならしをすれば再生できる
- 家庭では日常的な汚れはお湯とたわしで洗うのが基本。洗剤は頑固な汚れのときに限る
- 洗剤は中性洗剤を使用し、研磨剤入り洗剤は使用しない
- 洗剤使用後は必ず「油ならし(シーズニング)」を行い油膜を回復させる
- 油ならしはフライパンを弱火で加熱し、油(1/2カップ程度)を3分ほどなじませて拭き上げる
- 衛生面の観点から油汚れを残したまま収納するとゴキブリが来る原因になる
- 洗った後は加熱して水分をしっかり飛ばし、薄く油を塗って保管する
- 焦げ付いたら水でふやかしてからたわしで除去。サビはスチールたわしで除去後から焼きする
- 鉄フライパンから溶け出す鉄分は吸収率の高い二価鉄(ヘム鉄)で、通常の使用では過剰摂取の心配はほぼない
- 酸性の食材(お酢・トマト)を使うと鉄分溶出量が増える
- 加熱時間が長いほど鉄の溶出量が増加する











