鶏胸肉は、フードプロセッサーがなくても包丁でミンチにできます。基本は、肉を先に切り分け、それから包丁でたたいて細かくすること。キッコーマンの公式レシピにも、胸肉を角切りにしてから粗めにたたき、つくねにする方法があります。
仕上げは、いつも同じ細かさでなくて大丈夫です。肉の食感を残したいつくねなら粗め、ねっとりした状態のミンチにしたいならさらに細かく、という違いがあります。この記事では切る順番から順に説明し、後半で料理への使い方と、生の鶏肉を扱うときに欠かせない注意をまとめます。
- 鶏胸肉を切り分けてから包丁でたたく基本手順
- 作る料理に合わせた粗め・細かめの仕上げ
- 包丁でたたいた胸肉を使う二つのつくね
- 生肉の衛生管理と中心までの加熱・保存の注意
鶏胸肉を包丁でミンチにする基本手順
皮なしの胸肉を使い、作りたい料理を先に決める

ここで紹介する基本の作り方は、皮を外した鶏胸肉を使います。楽天レシピの「鶏胸肉と包丁でひき肉★手作り鶏ミンチのコツ・使用法」は、皮を外してから肉を切る手順。キッコーマンの「鶏むね肉のしそチーズつくね」も、材料は皮なしの胸肉です。皮付きの胸肉を用意した場合は、身と皮を分けてから進めましょう。
皮を使わないのは、この作り方の条件です。「鶏ミンチには必ず皮を入れてはいけない」という意味ではありません。外した皮については、楽天レシピでスープなど別の料理に使う例が紹介されています。身と一緒に細かくすることにこだわらず、使い道を分ける方法もあります。
つくねまで作るなら、切り始める前にレシピの肉の量も見ておきたいところ。後で紹介するしそチーズつくねは皮なし300g、デリッシュキッチンのつくね照り焼きは250gが基準です。どちらも「1枚」と書かれていますが、基準の重さは違います。
調味料や片栗粉の量を決めるときは、枚数だけで合わせず、使うレシピのグラム数と対応させます。
丸ごとたたかず、先に切り分けてから細かくする
包丁でミンチを作るときは、「切る」と「たたく」を分けて考えると手順が明確です。胸肉1枚をそのままたたき続けるのではなく、まず切り分けます。キッコーマンのしそチーズつくねでは、約3cmの角切りにしてから、包丁で粗めにたたく手順です。
この3cmは、たたく前の大きさであり、完成したミンチの粒の大きさではありません。
- 皮を外した鶏胸肉を用意する。
- 肉を切り分ける。粗めのつくねを作る場合は、約3cmの角切りが一つの具体例。
- 切った肉を包丁でたたき、細かくする。
- 粗めで仕上げるか、さらにたたくかを、作る料理に合わせて決める。
繊維の向きが気になる場合、味の素パークの切り方解説では、胸肉・もも肉は繊維に垂直に切ると食べやすくなるとされています。ただし、これは細切りの説明です。ミンチ作りでは、角切りや粗く刻む工程のあとに、さらにたたいて細かくします。
「必ずそぎ切りから始める」と手順を増やす必要はなく、まずは切り分けてからたたく流れを押さえましょう。
細かくならないときは、切り分け方と仕上がりの目標を見直す

「たたいているのに大きな肉片が残る」ときは、たたく前に切り分ける工程へ戻ってみてください。公式のしそチーズつくねは角切りから、デリッシュキッチンのつくね照り焼きは粗く刻むところから始めています。どちらにも共通するのは、最初からたたくだけで仕上げようとしないことです。
次に見直したいのは、どこまで細かくしたいか。しそチーズつくねは粗めにたたく作り方なので、滑らかな状態にすることが完成条件ではありません。一方、楽天レシピの手作りミンチでは、ねっとりして柔らかくなるまでたたくことが目安です。粒が残っているだけで失敗と考えず、料理が求める仕上がりと比べて判断します。
つくねでは、包丁で細かくする工程と、ボウルで材料を混ぜる工程も別です。デリッシュキッチンのレシピは、胸肉を刻んでたたいたあと、玉ねぎや調味料を加え、粘りが出るまで混ぜます。「粘りが出るまで」という指示を、すべて包丁でたたく時間だと受け取らないようにしましょう。
切る・たたく・混ぜる、それぞれの役割をレシピの順番に沿って進めます。
粗めと細かめは、使う料理の作り方に合わせる
包丁で作るときに迷いやすいのが、「市販のひき肉のように細かくしないと使えないのか」という点です。少なくとも、粗めにたたいた胸肉を使うつくねの公式レシピがあります。ゴロっとした肉の食感を楽しむ料理なら、粗めの仕上がりが選択肢になります。
| 仕上げ方の例 | 包丁での処理 | 使い方の例・位置づけ |
|---|---|---|
| 粗めにたたく | 約3cm角に切ったあと、粗めにたたく | キッコーマンのしそチーズつくね。ゴロっとした食感を楽しむ作り方 |
| 刻んでたたき、その後に混ぜる | 粗く刻んでたたき、ボウルで調味料などと粘りが出るまで混ぜる | デリッシュキッチンのつくね照り焼き |
| ねっとりするまでたたく | 切り分けてから、柔らかくねっとりするまでたたく | 楽天レシピの手作りミンチ。ミートボール・餃子・そぼろなどの使用例あり |
この表は、「つくねなら必ず粗め、餃子なら必ず細かめ」という決まりではありません。同じつくねでも、材料を均一にこねる作り方と、粘りが出るまで混ぜる作り方があります。まず作る料理を一つ決め、そのレシピに書かれた肉の処理を目標にするのがおすすめです。
細かくすること自体を目的にすると、粗めでよい料理でも終わりどころに迷ってしまいます。
包丁で作った鶏胸肉ミンチの使い方と調理・保存の注意
使い道に迷ったら、胸肉をたたいて作るつくねを選ぶ
初めてなら、もともと胸肉を包丁でたたいて作るレシピが具体的です。ひき肉のレシピに置き換える量や粗さを考えるより、肉を切るところから成形まで一続きで追えます。ここでは、味と食感の方向が異なる二つを紹介します。
ゴロっとした食感が好みなら、キッコーマンのしそチーズつくねが候補です。2人分で皮なし胸肉300g、青じそ10枚、ピザ用チーズ60gを使う作り方。粗めにたたいた肉に、手でちぎった青じそ、チーズ、しょうゆ・片栗粉・おろしにんにくを加え、全体が均一になるまでこねます。
10等分し、軽く丸めて平らにして焼くレシピです。
甘辛い味にしたいなら、デリッシュキッチンのつくね照り焼き。こちらは2人分で胸肉250gと玉ねぎ1/4個を使います。たたいた肉にみじん切りの玉ねぎ、酒・しょうゆ・おろししょうが・片栗粉を混ぜ、粘りが出たら6等分の小判形に。焼いて肉に火を通したあと、酒・みりん・しょうゆのたれを煮からめます。
二つは、肉の量も、混ぜる材料も、分ける個数も異なります。片方の肉量に、もう片方の成形や加熱時間だけを組み合わせず、作りたい方の分量と工程を一式で使ってください。包丁でミンチにしたあとまで見通せると、粗さの目標も定まります。
生肉は洗わず、手と包丁・まな板を清潔にする

切る前の鶏肉は、水で洗いません。農林水産省は、肉を洗った水がはねると、食中毒菌も一緒に飛び散り、キッチンや周りの食材を汚染する可能性があると説明しています。ドリップが気になる場合は、キッチンペーパーなどで拭き取る方法が案内されています。
調理の順番も大切です。生の鶏肉が、サラダ用の野菜や果物などに触れないよう、調理器具を分けるか、肉を最後に切ります。同じ包丁とまな板で献立の下ごしらえをするなら、肉を切ったあとに、そのまま生で食べる食材を切る流れは避けましょう。肉汁も、他の食材や調理済みの食品に付けないようにします。
調理前と生肉を触ったあとは、手を洗います。包丁やまな板なども、使用後すぐに洗剤と流水でよく洗いましょう。農林水産省は、まな板などの調理器具について、洗剤での洗浄に加え、熱湯や塩素系漂白剤による消毒、十分な乾燥を案内しています。
肉を細かくする作業だけで終わりにせず、手と道具を清潔に戻すところまでを一つの作業にします。
つくねは表面の焼き色だけで終えず、中心まで加熱する
ミンチにした鶏胸肉も、調理するときは中心まで十分な加熱が必要です。農林水産省の鶏料理の注意点では、中心の温度が75℃以上で1分間以上と案内されています。フライパンの設定温度や、表面に焼き色がついてからの時間を指す数字ではなく、肉の中心についての条件です。
しそチーズつくねの公式レシピも、両面に焼き色をつけたら完成、という手順ではありません。酒を加えてふたをし、弱火で3分ほど加熱して火を通します。これは皮なし胸肉300gなどの材料を10等分して平らにする、そのレシピの工程です。「鶏ミンチなら何でも3分」と使える時間ではありません。
また、買ったばかりの肉や、自分でたたいた肉でも、生食や加熱不足を避ける点は同じです。農林水産省は、生きた鶏がカンピロバクターを保菌している場合があり、「新鮮だから生で食べられる」とは限らないと注意しています。
手作りミンチの仕上がりを確かめるときも、口に入れて判断せず、料理として中心まで加熱してから食べましょう。
作業を中断するときは冷蔵し、冷凍肉は使う分だけ解凍する

切った肉を置いたまま、別の用事を始めないようにしましょう。厚生労働省は、料理を途中でやめて室温に放置すると、細菌が付いたり増えたりするとして、中断するときは冷蔵庫に入れるよう案内しています。生肉の保存は汁漏れも防ぎ、袋や容器に入れて、他の食材に肉汁がかからないようにします。
冷凍してある胸肉を使う場合は、調理台に置いたまま室温で解凍する方法を避けます。厚生労働省が示す解凍方法は、冷蔵庫内や電子レンジ。水で解凍する場合は、気密性のある容器に入れて流水を使います。料理に使う分だけ解凍し、解凍後はすぐに調理するのが基本です。
使わなかったからと、冷凍と解凍を繰り返さないようにしてください。
保存については、「冷やせば長く置いておける」と考えないことも大事です。厚生労働省の家庭での保存の案内では、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下が維持する温度の目安。ただし、低温でも細菌が死ぬわけではないため、早めに使い切るよう示されています。
この温度を守れば手作りミンチを何日保存できる、という保証ではありません。
加熱したつくねなどが残った場合は、清潔な器具と容器を使い、早く冷えるよう浅い容器に小分けして保存します。温め直すときも十分に加熱し、厚生労働省が示す目安は75℃以上です。生のミンチと、調理を終えた料理を区別して扱い、時間がたちすぎたものや少しでも怪しいものは食べずに捨てましょう。
鶏胸肉を包丁でミンチにする方法のまとめ
この記事のまとめです。
- 鶏胸肉は、包丁で切り分けてからたたくとミンチにできる
- 紹介した基本手順は皮なしの胸肉を使用
- しそチーズつくねの約3cm角は、たたく前の肉の大きさ
- 細かくならないときは、先に切り分けたかと、必要な粗さを見直す
- つくねは粗めにたたく作り方もあり、必ず滑らかにする必要はない
- たたく工程と、調味料などを加えて粘りが出るまで混ぜる工程を区別
- つくねの肉量・材料・成形・加熱工程は、選んだレシピにそろえる
- 鶏肉は水で洗わず、手や器具を清潔にして他の食材への接触を防ぐ
- 加熱は肉の中心温度75℃以上で1分間以上が目安
- 作業を中断するときは冷蔵し、冷凍肉は使う分だけ解凍してすぐ調理









