パンのクープは包丁で入れられる?入れ方と角度・深さのコツ

パンのクープは包丁で入れられる?入れ方と角度・深さのコツ

パンのクープは、専用ナイフがなくても、よく切れる包丁で入れられます。基本は、力で生地を押し切ろうとせず、切り込みを入れる方向へ刃を動かすこと。ただし、包丁は刃が厚いため、柔らかい生地では刃が入りにくく、生地をつぶしてしまうこともあります。

手持ちの包丁でうまくいかないときは、動かし方だけでなく道具との相性も見直しましょう。

また、クープの角度や深さ、入れるタイミングは、パンによって違います。バゲットのように刃を寝かせて薄く切るものもあれば、カンパーニュのように垂直に切り込むものも。まずは包丁での基本動作を押さえ、そのうえで作るパンのレシピに合わせる、という順番で見ていきます。

この記事のポイント
  • 包丁で代用できる条件と刃の厚さによる限界
  • 包丁を同じ方向へ動かし、深さをそろえる基本
  • パン別のタイミング・角度・深さの違い
  • 引っかかる・開かないときの見直しと道具選び
目次

パンのクープを包丁で入れる方法と基本のコツ

包丁で代用できる条件と、専用ナイフとの違い

包丁で代用できる条件と、専用ナイフとの違い

クープとは、パン作りで生地の表面に入れる切り込みのことです。見た目の模様を作るだけでなく、生地の膨らみや火の通り、焼き上がりの形にも関わります。ABC Cooking MARKETでも、専用のクープナイフのほか、家庭にある包丁やハサミで入れられると紹介しています。

包丁を使うときの条件は、よく切れること。cottaの解説でも、切れ味のよいナイフで代用できるとされています。専用ナイフを持っていないからといって、クープを入れる工程をあきらめる必要はありません。一方で、どんな包丁でも専用品と同じように扱える、という意味ではない点は押さえておきたいところです。

富澤商店の解説では、包丁やペティナイフは刃が厚く、柔らかい生地に入りにくかったり、生地をつぶしたりすることがあると説明しています。クープナイフは、生地に切り込みを入れるための道具で、薄い刃を使うものがあります。

包丁で表面を押してしまう状態が続くなら、力を増やすよりも、薄くよく切れるクープナイフを検討する場面です。

包丁は同じ方向へ動かし、生地の丸みに沿わせる

包丁で入れるときに意識したいのは、パンの向きを変えながら、手は常に同じ方向へ動かすことです。切り込みごとに無理に手の動きを変えるのではなく、生地の向きを変えて対応します。

ABC Cooking MARKETでは、包丁を使う例として、中央の十文字に加え、その間の4か所にも切り込みを入れる方法を紹介しています。

  1. ABC Cooking MARKETの包丁での模様の例では、まず中央に十文字のクープを入れます。
  2. 十文字の間の4か所にも切り込みを入れます。
  3. 方向を変えるときはパンの向きを変え、手を動かす方向をそろえます。
  4. 生地の膨らみに合わせ、円を描くように刃を動かして深さをそろえます。

丸く膨らんだ生地では、その丸みに沿わせるのがポイント。同じ高さのまま刃を動かすことだけを意識するのではなく、生地の膨らみに合わせて切り込みを入れます。同サイトでは、この動かし方によって深さがそろい、焼き上がりも均一に仕上がると説明しています。中央だけでなく、切り込みの端まで深さをそろえる意識です。

力加減については、Nadiaの基本解説が「力を入れずに一気に入れる」ことをポイントに挙げています。ただ、ここで紹介した十文字と4か所の模様は、包丁で入れる一例です。すべてのパンにこの配置を使う必要はありません。

バゲットの複数本のクープなど、配置が指定されている場合は、そのパンの形に合った入れ方へ切り替えます。

入れるタイミングは二次発酵の前後をレシピで分ける

入れるタイミングは二次発酵の前後をレシピで分ける

「クープは二次発酵が終わってから」と一律に覚えると、作るパンによっては手順が合いません。富澤商店のレシピでも、ソフトフランスとイーストカンパーニュは二次発酵後に入れる一方、ヴィエノワは二次発酵前に入れています。包丁か専用ナイフかを決める前に、まずレシピの工程順を見ておきましょう。

富澤商店のレシピクープを入れるタイミング手順上の特徴
基本のソフトフランス二次発酵後、焼成前オーブンの予熱完了後に入れる
基本のイーストカンパーニュ二次発酵後、焼成前発酵カゴから取り出して入れる
基本のヴィエノワ(ミルクフランス)二次発酵前成形・冷却後に入れ、その後に二次発酵をとる

ヴィエノワのように発酵前に入れる例では、その後の発酵で切り込みが開いていきます。ABC Cooking MARKETでも、ビエノワを発酵前に切ると、発酵後に切り込みが開き、模様が大きく仕上がると説明しています。同じ「パンに切り込みを入れる」工程でも、焼成直前のクープとは進め方が違うのです。

焼成前に入れる場合は、模様を考える時間もあらかじめ取っておきたいところ。ABC Cooking MARKETは、小さいカンパーニュの説明で、複雑な切り込みほど時間がかかり、生地表面が乾燥しやすくなるとしています。

発酵が終わってからデザインを迷うより、発酵中に切る位置をイメージしておく方法が紹介されています。

刃の角度と深さはバゲットとカンパーニュで変える

クープの角度は、全部を垂直にするわけでも、全部を斜めにするわけでもありません。cottaのクープナイフを使った説明では、バゲットは生地に対して45度ほど刃を寝かせ、カンパーニュやミルクハースは垂直に切り込みます。角度を考えるときは、まずどのパンを作るのかが出発点です。

対象と出典刃の角度・入れ方深さの考え方
cottaのバゲット解説生地に対して45度ほど寝かせる皮一枚を薄く切るイメージ。浅すぎても深すぎても開きにくい
cottaのカンパーニュ解説生地に対して垂直バゲットより気持ち深め。各ラインの深さをそろえる
富澤商店「基本のソフトフランス」クープナイフで薄く削ぐように入れる2〜3mm程度
富澤商店「基本のイーストカンパーニュ」中心にクープを入れる4〜5mm

「何mm切ればいい?」という疑問には、作るレシピに結び付いた数字で考えるのが適切です。表の2〜3mmは、富澤商店の「基本のソフトフランス」で、クープナイフを使う工程の目安。4〜5mmは「基本のイーストカンパーニュ」の指定です。

この数字を、すべてのパンや、どんな包丁にも共通する正解として使うことはできません。

また、深くすれば必ず大きく開く、という覚え方も避けたいところ。cottaのバゲット解説では、浅すぎる場合も深すぎる場合も、クープが開きにくくなるとされています。一方、カンパーニュではバゲットより少し深めにし、すべてのラインを同じ深さにすることが大切とされています。

パンごとの違いと、同じパンの中で深さをそろえることを分けて考えます。

パンのクープの入れ方で迷ったときの包丁・道具の使い分け

バゲットは刃の傾きと切り込みの配置を分けて考える

バゲットで迷いやすいのが、「斜めに入れる」という言葉です。刃を生地に対して寝かせる角度と、上から見た切り込みの向きは別の話。cottaでは、刃は45度ほど寝かせる一方、切り込みの配置は大きな斜め線というより、パンの長い方向に沿った、真っすぐに近い形が理想と説明しています。

  • 切り込みが生地中央のラインに収まる配置
  • 隣り合うクープが約1/3ずつ平行に重なる配置
  • それぞれのクープの長さ・角度をそろえること
  • パン全体では、端から始まり、端で終わる配置

本数は、フランスパンの長さによって変わります。cottaでは、最初は自分がやりやすい本数で取り組むことも勧めています。たとえば富澤商店のソフトフランスのレシピは3本ですが、その本数を長さや形の違うすべてのパンに当てはめる必要はありません。

まずは使うレシピの本数を基本に、長さと重なりをそろえることを意識しましょう。

配置を考える段階で手が止まりそうなら、紙にバゲットの形を描き、ペンでクープの線を入れる練習もあります。これはcottaが紹介している方法で、切る位置や重なり具合、動かす速さをイメージするためのもの。生地に刃を入れてから線の方向を考えるより、先に頭の中で動きを決めておけます。

刃が引っかかるときは力加減と刃の当て方を見直す

刃が引っかかるときは力加減と刃の当て方を見直す

包丁に生地が引っかかると、つい力を入れて切りたくなります。ですが、cottaのバゲット解説では、力むと生地がナイフに引っかかって滑らかに切れず、生地をつぶしてしまうことがあるとされています。富澤商店も、包丁の刃の厚さが柔らかい生地への入りにくさにつながる場合を挙げています。

切れないときほど、力で押すことだけに頼らないのがポイントです。

刃の当て方について、富澤商店の一般的なコツでは、刃の角を点で当てるより、刃の面を当てるイメージが紹介されています。点で当てると生地が引きつれやすいためです。また、手首を動かすより、肘を横へ引くように入れると、すっと切り込みが入りやすいと説明しています。

ただし、同店の「基本のソフトフランス」の工程では、クープナイフの角を使って薄く削ぐ方法が指定されています。刃の当て方は説明によって異なるため、「先端を使えば何でも切れる」「面で当てればどのレシピでも同じ」とは言い切れません。

特定のレシピに切り方の指定があれば、そのパンと道具を対象にした説明として扱いましょう。

切れていない部分を切り直せるかについては、cottaのカンパーニュの説明が参考になります。一部分が切れていなかったり浅かったりする場合は、追加でクープを入れられるとされています。ただし、ノコギリのように何度も往復して切ると生地がつぶれるため、避けるよう案内しています。

この補正はカンパーニュの説明であり、バゲットを何度も深く切り直す勧めではありません。

焼いても開かない原因は包丁だけではない

焼き上がったパンのクープが開かなかったときは、「包丁だから失敗した」とすぐに決めつけなくて大丈夫です。cottaは、クープそのものに加え、生地の配合・状態・成形・発酵状態・焼成など、開かない原因は一つではないと説明しています。

切り込みが滑らかに入ったかという問題と、焼いたときに開いたかという問題を分けて見てみましょう。

具体的な見直し点として、富澤商店の「基本のソフトフランス」では、成形時に表面をしっかり張らせることを、クープが開くためのポイントに挙げています。また、布取りではとじ目を下に置きます。とじ目が横に来ると、その部分が焼成中に裂け、横が裂けることがクープの開かない原因になると説明しています。

このレシピで、上のクープより横のとじ目が裂けているなら、包丁の角度を変えることだけでなく、成形と生地の置き方も見直す対象です。逆に、切る段階ですでに生地を押しつぶしているなら、先に切れ味や力加減、道具の選択を見直します。仕上がりのどこが気になるのかに合わせて、戻る工程を分けるとよいでしょう。

一方、切り口の縁が立ち上がる「エッジ」が出ないだけで、失敗と判断する必要はありません。富澤商店のコラムでは、クープがぱっくり開いてエッジが立つことは必須ではなく、配合によってエッジが立たないものもあるとされています。

見本のような鋭い縁にならなかった、という一点と、生地の膨らみが足りないことは同じではありません。

同コラムのソフトフランスの比較は、生地を同じ重さに分け、同じ時間発酵させ、同じ温度・焼成時間で焼いたものです。その条件では、クープありの方が断面が大きく、軽くふんわりした仕上がりとされています。ただし、これはクープの有無を比べた例。

包丁と専用ナイフの優劣を比較した試験でも、すべての配合で同じ結果になる保証でもありません。

包丁・クープナイフ・ハサミを切り込みの形で使い分ける

包丁・クープナイフ・ハサミを切り込みの形で使い分ける

手持ちの包丁で滑らかに切り込みが入るなら、その包丁を使う方法があります。一方、柔らかい生地をつぶしてしまう場合は、よく切れるクープナイフが候補です。専用ナイフには、刃と柄が一体になったものや、カミソリ刃をセットするものなどがあります。まずは生地に無理なく刃が入るかを見て、必要に応じて道具を選びます。

道具使いどころ判断するときのポイント
よく切れる包丁専用ナイフの代用。ABC Cooking MARKETには十文字と追加の切り込みの例あり柔らかい生地では刃の厚さで入りにくい場合がある
クープナイフ生地表面に線状の切り込みを入れる作業薄くよく切れる刃を使うものがあり、パンに合わせて角度・深さを調整する
ハサミ十字の切り込みやベーコンエピ切り込みの形に合った手順で使う

ハサミは、包丁がうまく切れないときの代用というだけでなく、切り込みの形に合わせて使う道具です。ABC Cooking MARKETでは、十字の切り込みや、切った生地を左右交互にずらして麦の穂のように整えるベーコンエピに使っています。

バゲットの薄い線状のクープと、エピの切り込みでは、目指す形も動作も異なります。

私なら、最初は「手持ちの包丁で切れるか」「作りたい切り込みに合うか」を選ぶ基準にします。包丁で難しい生地なら専用ナイフを考え、エピのようにハサミを使うレシピなら、その手順に合わせる。道具を替えたあとも、パンごとの角度・深さ・タイミングは引き続き大切です。

パンのクープを包丁で入れる方法のまとめ

この記事のまとめです。

  • クープはよく切れる包丁でも入れられますが、柔らかい生地では刃の厚さで入りにくく、つぶれることがあります。
  • 包丁で入れる例では、パンの向きを変えながら手を同じ方向へ動かし、生地の丸みに沿って深さをそろえます。
  • 入れる時期はレシピで分かれます。富澤商店のソフトフランスとイーストカンパーニュは二次発酵後、ヴィエノワは二次発酵前です。
  • cottaのクープナイフの解説では、バゲットは45度ほど寝かせ、カンパーニュやミルクハースは垂直に切り込みます。
  • 深さの数値は対象レシピの目安です。富澤商店のソフトフランスは2〜3mm程度、イーストカンパーニュは4〜5mmで、全パン共通の指定ではありません。
  • バゲットでは、刃を寝かせる角度と上から見た線の向きを区別し、中央に収まる配置と約1/3ずつの重なりを意識します。
  • 引っかかるときは力加減を見直します。cottaのカンパーニュの補正では、切れていない部分への追加は可能ですが、何度も往復して切る方法は避けます。
  • 焼いても開かない原因は包丁だけではありません。ソフトフランスのレシピでは、成形時の表面の張りや、とじ目を下に置くこともポイントです。
  • エッジが立たないだけで失敗とは限りません。配合によって立たない場合があり、クープの有無の比較と道具の優劣は別です。
  • 柔らかい生地で包丁が難しければクープナイフを検討し、十字やベーコンエピなどは切り込みの形に合ったハサミの手順を使います。
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この記事を書いた人

はじめまして、トントンです。
20代はほぼ料理をせず、30代前半でやっと自炊デビュー、安物買いの失敗を重ねて道具を見直し、今はキッチン道具沼にどっぷりハマっている40代のいちユーザーです。
「自分にぴったりの一品」に出会えるお手伝いができれば嬉しいです。

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